ボクの定番コースは、小田原から箱根ターンパイク経由で伊豆スカイラインを走り、修善寺へ下りて戸田か土肥の西伊豆へ山越えする。
たまに沼津から西浦経由もある。さらに南下して松崎町から雲見へ海岸線を走るとヘアピンだらけのワインディングがあり、その先にコーナーが大きめのマーガレットラインとなる。
そしていつも泊まる雲見温泉の民宿、仙造屋さん。海岸なので塩分を含んだ天然温泉(嘗めると塩辛い)で、冬の冷えた身体を実に良く暖めてくれる。もちろん海の幸が豊富で、新鮮な刺し身に西伊豆ならではの伊勢海老や鮑など、あらかじめ頼んでおけば贅沢三昧が出来る。女将は気さくな人で、我がスタッフ一同や本誌コラムの尾熊さんに平選手ら大勢でのツーリングでも何度となくお世話になっている。
‥‥ときには深夜ヘッドライトだけを頼りに箱根を山越えし、明るくなりだした伊豆の海岸線をひた走り朝食を済ませるとまた取って返すということもあった。
そんなことを繰り返しているうちに、寒い季節は温泉と好物の海の幸に旨い酒を求め西伊豆に一泊したりと、いつの間にかツーリング好きになっていたのだ。 但し、コースは必ずワインディングを繋いでコーナを絶やさないことがボクの条件だ。クイックなヘアピンから先の見えないブライドコーナー、胸のすくような見通しの良い中速以上のカーブ、それにバンピーな路面等々、変化に富んだ伊豆のワインディングにすかさず対応するRSの走りの醍醐味といったらない。
‥‥こうしてボクだけの’00モデルに仕上がったRSを目の前にすると、ジッとしていられなくなりいつものツーリングコースへと早速走りに出かけてしまった。立春を過ぎたとはいえ都会の春はまだ遠いが、西伊豆から南伊豆へ下ると期待通り春風を肌身で感じる。そこまでの山越えの身も凍る寒さとのギャップから、なおのこと暖かさが際立つ。
近年、ボクは伊豆をワインディングだけでなく林道まで足を踏み入れる楽しみに浸っている。 林道といってもほとんどが簡易舗装してあり、スーパースポーツだと枯れ枝や落ち葉で舗装が見えないこともあり躊躇しがちだが、RSなら何の不都合もない。昼間でも薄暗い鬱蒼とした中を、ゆっくりとしかし曲がりくねった箇所も楽しみながら進んでいく。木漏れ日の中にせせらぎを見つけたり、気が向けばバイクを停めエンジンを切って、風の音と木々の香りに五感を委ねる。何ともいえず爽やかで静かな時が流れていく。
‥‥いつもの浜辺でRSを停め、ちょっと離れて眺めてみた。メタリックペイントが主流のBMWだが、明るいソリッドの方が微妙な曲面が見えてなかなかカッコ良い。惚れ直した。
よーし、民宿の女将に自慢しに行くか。
(RIDERS CLUB 2000/4月号より抜粋)
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